ちらっと触れましたが

トンネル博物館の近くのお土産やさん(?)で出会ったおじさん。

すごくいい出会い。

とても、印象的な人だったので。


セルビアに包囲されたサラエボ。

外界への唯一の連絡路。

800mのトンネル。

現在も残るその姿の一部を見学することの出来る場所。

トンネル博物館。
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その近くの小さなお土産屋のような違うような小屋。

なんとなく入ったら、暇そうなそこのおじさんにつかまってしまった。



商品の説明、そして、フリーガイドブックを出してきて、地元の料理の紹介。

肉を包んたパンをぐるぐる巻いてやいたものや、パプリカに肉と米を詰めたものが入っているトマトスープが美味しいと。

オリンピック会場が、それぞれサラエボのどこにあったのか、スキーは山の中。ボブスレーも山だね。

なんて調子。


暇だし、まいっか。

と、おじさんとの会話を楽しむ。



部屋に張ってある大きなポスター

ここが、セルビアに占拠されていて

ここが国連の空港。ここにトンネルが作られたんだよ。

いまいちわかっていなかった私は、おじさんの説明でようやく理解。
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そうこうしていると

部屋にあった、テレビをつけて

DVDを早送りし始めた。
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↑テレビの周りの様子からわかるように、普通のお土産やさんというより、普通の部屋。

みたいな、小屋。



DVDにおじさんが映っていて

おじさんは、さっき見てきたトンネルを作った要員だったという。

彼がエンジニア。彼が掘った人。私は、運転手だった。と。

当時のトンネル博物館周囲の戦況や、トンネル内の映像なんかも映っている映像であった。

見てていいよ。

といってくれるが、おじさんがどんどんしゃべるので、映像の解説時以外は

映像を見たり、聞いたり出来なかった。


必要なもので、サラエボのライフラインだったことはわかる。

ただ、なぜ、どういういきさつで、どのような経過、どのような人がかかわるプロジェクトだったのか。

私の語学力では、質問することが出来なかった。

説明してくれても、わからなかったような気もするし。



そしておじさんの話。

おじさんは当時35歳。

一人の子供と奥さんががいた。

奥さんは、妊娠中であったが、爆撃の影響で、8ヶ月になるお腹の子供を失った。

そして、二度と子供を生めない体になってしまったそう。


子供は、もっとほしかったんだ。

子供は何人もいるほうがいいよ。


あなたは結婚しているの?子供は?なぜ子供はまだいないの??


今度は、ご主人と、子供を連れて、この町においでと。



悲しそうに、自分の話をしていたが、

今は唯一の子供に、二人孫がいて、一緒に暮らしているそう。

2才と8ヶ月だったかな。

今は、とても幸せだよと。



暮らしていくのは大変だよ。

こんな小さな店では、収入が本当に少ないんだ。

食べていかなくてはならないから。

こうも話していた。




そして、こんなことがあった街。

とても辛い記憶も多い。




ただ、現実の今の生活

生きていくことの大変さ

そういうものにも追われている。




この町をみていて

銃弾の残る家が多く残るのは

メモリアルとして、意図的に残していこう

二度と起こさないように

そういう、この出来事を消化して、前に進もうとしているからではなく

今の生活をなんとか生きていかなくてはならないから

倒壊した家屋には住めないけれど、

銃弾の跡があるだけの家は住めるから。

それよりも、食べ物を、生活を。

そんな雰囲気を感じた。



おじさんも、そうなのだろうか。




ただ、この街に若い人(私!?)が来てくれて

街のおいしいものを食べてくれたり、街のビールを飲んだり。

楽しく過ごしてくれることを、とても嬉しいと思っているよ。

とも。




私は、サラエボの料理やビールを楽しむために来たわけではないけれど

この街をそんな風に、思っているおじさんの気持ちは伝わってきた。



では、そろそろ。



という感じをだすと。


暇なのか、今度は、タバコを作り始めた。

日本では、タバコはパッケージに入って売っているもの。

この地域では、側の紙と、中身をそれぞれ購入し、自分で作るものらしい。

興味津々に見ていると、得意げに説明してくれた。

まず、こうやって、次に、こうして…。

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結局2時間くらいおじさんにつかまってしまった。

でも、いい話も聞けたし、なんだか人と話すのは楽しい。

おじさんありがとう。

最後におじさんと記念撮影をした。


おじさんは、自分のカメラでもと。

どこからか、デジカメを撮ってきて、自分のカメラでも撮影していた。

写真を見ると、まじめくさった顔で

気難しい顔をしているけど

とても陽気でおしゃべりなおじさんだった。

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ここからは、バスターミナルまで、徒歩40分。

バスは1時間から1時間半に一本と。

タクシーを呼んであげようかといわれたが、とりあえずバス停まで行ってみて、

ばすがないなら歩くことを告げ、おじさんとお別れした。


よい時間をありがとうございました。